薬学教育

2009年4月 8日 (水)

SOAPノート

今日は私が経験した日本・フロリダ・フィラデルフィアの3つの大学におけるSOAPノートを使った教育の違いについて書きます。
SOAPノートというのは薬剤師が患者さんの状態を把握し、それを評価し薬物治療の計画を考えるために作られた形式のことです。
Subjectives(主観)・Objectives(客観)・Assessment(評価)・Plan(計画)

まずは日本。
私が日本にいた頃はSOAPノートがどのようなものであるかということは習いましたが、SOAPノートを実際に書いた記憶はありません。病院実習で研修に行った際には病棟薬剤師の方たちがSOAP形式で患者さんを評価していたことを覚えています。しかしながら、大学ではSOAPを一回も書きませんでした。もちろん当時でも各大学で異なった教育をしていたと思うので、SOAPを実際に課していた大学もあったかもしれません。

次にフロリダの大学。
フロリダではTherapeutics(薬物治療学)の授業の課題として全員の学生がSOAPを書き、提出させられます。Therapeuticsの授業は講義として行われますので、授業内でSOAPに関して授業中に学生同士が議論することはあまりありません。
フロリダの大学ではSOAPをSOAPEと言い、最後の"E"はEducation(患者カウンセリング)を意味していました(私の大学だけかもしれません)。
長所
①カウンセリングに関する項目(E)。
②全員同じ症例をSOAPに書くので採点が公平。
短所
①現在進行中の問題しかSOAPに書かないので、実際の患者さんのSOAPを書く際に戸惑う。(例えば現在の授業で心不全と狭心症を習っている場合、仮に過去に糖尿病を習っていて、かつその課題症例が心不全・狭心症・糖尿病でも糖尿病に関して書く必要はない)。
②先生は症例を議論してくれるが、200人以上の学生に対して解答を解説するので議論に参加しにくい。

最後にフィラデルフィアの大学。
ここではTherapeutics(薬物治療学)の授業とRecitationという小グループの授業が同時進行します。Recitationは20人の学生で行われるため、8人の教員とレジデントが協力して行います。
20人の学生は5つのグループに分かれ、AグループはSOAPに基づいた症例のプレゼンテーション、B・CグループはSOAPノートの提出、Dグループは論文検索の課題提出、EグループはAグループが行う症例プレゼンテーションの議論への参加が求められます。
長所
①小グループで行われるため議論が活発化する。
②過去に習った病気に関してはすべて記述が求められる。
短所
①学生によって課題が異なるため、公平性に欠ける。
②レジデントも含めた10人以上の教員が採点するため一貫性に欠ける。

私にとってはフィラデルフィアのやり方のほうがいいのではないかと思っています。
採点の一貫性に関しては教員の間で話し合いを頻繁に設けてなるべく同じように採点できるように心がけています。また、採点表を学生にも公表していますので学生からの不満も多くはありません。
また難易度の公平に関しては、学生は6回のRecitationで2回SOAPを提出しますので平均化できるのではないかと思います。

フロリダでもフィラデルフィアでも最終学年の1年間の実習では何回もSOAPノートを書く機会があるので実際のSOAPの書き方を1年を通して学んでいきます。

日本でも臨床教育が推し進められていますのでSOAPを使った教育をどのように行っていくかは重要な点であると思います。